イベント会社の営業として、周年イベントや表彰式のOPムービーをクライアントに提案する場面を想像してください。見積もりを出した瞬間、こう聞かれることがあります。

「テンプレートを使ってるから、この値段なんですよね?」

このセリフに、言葉に詰まってしまう営業担当は少なくありません。返し方を間違えると、案件そのものが小さく見えてしまう。今日はこの質問への返し方を、実例ベースで考えてみます。

なぜ「テンプレだから安い」と聞かれると詰まるのか

画像①

「テンプレートを使ってるから、この値段なんですよね?」

このセリフ、悪気があって言われることは少ないんです。むしろクライアントは単純に「なぜこの金額なのか」を知りたいだけ。でも「テンプレなので…はい、そうです…」と歯切れ悪く答えてしまうと、クライアントの頭の中では「テンプレ=手抜き=もっと値切れる」という式が勝手に完成してしまいます。

僕は動画生成AI研究所の所長として、いろんな制作会社さんの営業現場を見てきましたが、ここで詰まる理由はシンプルです。「テンプレートである理由」を自分の言葉で説明できていないから。テンプレートだから安いんじゃなくて、テンプレート化することで「毎回ゼロから設計する部分を減らしている」から、その分を価格に反映できている。この順番を営業担当自身が腹落ちしていないと、聞かれた瞬間に防御姿勢に入ってしまうんです。

クライアントが本当に知りたいのは、値段の内訳そのものより「この値段で、自分たちの本番に何が起きるか」です。そこを見誤ると、どれだけ丁寧に説明しても響きません。

返し方①:「安さの理由」を先に自分から説明してしまう

これが一番効きます。聞かれる前に言ってしまう。

具体的なセリフ例はこんな感じです。

> 「この金額、テンプレート化しているので実現できてるんです。毎回イチから絵コンテを起こして個別設計すると、企画・演出設計だけで工数が数倍かかります。今回は型が決まっているものに、御社のロゴや写真、社名を当てはめる形なので、そのぶん価格を抑えられています」

ポイントは「品質を落として安くしている」ではなく「設計の手間を絞っているから安くできている」と言い切ることです。この差は大きい。クライアントの頭の中で「安い=粗い」という連想が起きる前に、こちらから理由を提示してしまう。

先に言うか、聞かれてから言うか。たったこれだけの順番の違いで、クライアントの受け取り方はまったく変わります。「聞かれる前に自分から弱点に見えそうな部分を説明する」というのは、営業トーク全般に効く原則だと僕は思っています。

返し方②:「静止画ベースの最小構成」だと正直に伝える

ここ、正直に言えるかどうかが信頼を左右します。

テンプレート型のOPムービーは、写真や社名を当てはめる静止画ベースの構成が基本です。動きのある映像素材をふんだんに使った作り込みではありません。ここを誤魔化さずに伝えるのが大事です。

セリフ例です。

> 「正直にお伝えすると、このグレードは静止画ベースの最低限の構成になります。会場の暗転からOPが流れて、参加者の視線が集まる、という体験としては十分機能しますが、映像そのものの作り込みという意味では入口のグレードです。もし当日の熱量をもっと上げたいということであれば、動画素材を使ったフルカスタムの制作にステップアップすることもできます」

このセリフの効果は二つあります。一つは、期待値を過剰に上げないことで「思ってたのと違う」という失注リスクを防げること。もう一つは、上位グレードの存在を自然に提示できることです。最初から「これしかありません」と言うより、「入口はここ、伸ばせる先はここ」と見せたほうが、クライアントは安心して検討できます。

返し方③:「体験してもらうこと」が目的だと伝える

これが一番大事な返し方だと思っています。価格の話を、体験の話に変換する。

セリフ例です。

> 「実はこの価格帯を用意している一番の理由は、映像を使ったことがない企業さんに、最初の一回を体験してもらうためなんです。会場が暗転してOPが流れた瞬間、空気が変わります。参加者の姿勢が変わります。この体験を一度してもらうと、次は『エンディングも映像にしたい』『表彰式でも使いたい』と、自然に映像を使う場面が広がっていくんです」

ここまで話すと、クライアントの頭の中で「安い理由」の質問が「来年はどうしようか」という質問に変わります。

映像を使ったことがない企業ほど「うちには必要ない」と思っています。使ったことがないから価値がわからないだけなんです。だからこそ最初のハードルを下げて、体験してもらう。そして「去年は映像を入れたら反響が良かった、今年はもっと予算を組んでやろう」という判断に繋げる。これは目先の一本の単価の話ではなく、来年・再来年の案件規模を育てる話です。

イベント会社にとっては、この「体験のきっかけ」自体が、クライアントに渡せる商品になります。安さそのものを売るのではなく、体験の入口を売る。ここが返し方の核心だと僕は思っています。

【イベント会社さまへ】

映像込みの提案で迷ったら、企画段階から壁打ち相手として使ってください。

費用感や実現可否だけ知りたい、という段階のご相談も歓迎です。

👉 相談する:https://easyease.net/contact/

返し方を使う場面:提案書・商談・当日フォローの3タイミング

画像③

ここまでの3つの返し方は、それぞれ使う場面が違います。

提案書の段階では、返し方②の「静止画ベースの最小構成である」ことを、見積もり項目のすぐ下に一文添えておくのがおすすめです。口頭で説明する前に文字で見せておくと、商談本番で驚かれることがなくなります。

商談本番では、返し方①をクライアントから聞かれる前に自分から切り出すのが効果的です。金額を提示した直後、間を置かずに「この金額はテンプレート化しているので実現できています」と続ける。沈黙が生まれる前に理由を渡してしまう。

当日〜イベント後のフォローでは、返し方③が生きてきます。本番でOPが流れた瞬間の会場の空気を、後日のお礼メールや次回提案のタイミングで思い出してもらう。「あの瞬間、良かったですよね。来年はもう少し予算を広げて、エンディングも映像化してみませんか」という一言に繋げられます。

チェックリストにするとこんな感じです。

– [ ] 見積もりに「テンプレート化による価格」の一文を入れているか – [ ] 静止画ベースである旨を、期待値のズレが起きる前に伝えているか – [ ] 上位グレードへのステップアップ先を提示できているか – [ ] 本番後のフォローで「体験してどうだったか」を聞けているか – [ ] 来年の予算感の話を、当日の余韻があるうちに切り出せているか

まとめ:安さの説明ではなく、体験の設計として伝える

「テンプレだから安いんですよね?」という質問は、実はクライアントからの小さなサインです。「なぜこの値段なのか」を知りたいだけで、値切りたいわけではないことのほうが多いんです。

今日紹介した3つの返し方、①理由を先に自分から説明する、②静止画ベースの最小構成だと正直に伝える、③体験してもらうことが目的だと伝える、はどれも「安さを弁解する」トークではなく「体験の入口をどう設計しているか」を伝えるトークです。

僕は所長として色んな映像案件の営業現場を見てきましたが、価格の話で詰まる営業担当の多くは、安さの理由を自分の言葉で持てていないだけです。逆に言えば、ここさえ整理できれば、テンプレートという言葉はマイナスではなく「入口を作れる武器」に変わります。

次にクライアントから同じ質問が飛んできたら、ぜひこの3つの返し方を思い出してみてください。

【株式会社EasyEaseについて】

イベント会社の映像パートナー。企業イベントの撮影・編集・ライブ配信・OPムービー制作を、 御社案件の一部として裏方で担当します。テンプレートを活用して工数を抑えることで、OP映像をもっと多くの現場で使ってもらえる価格にしています。 広告代理店・制作会社向け自社サービス「CUROCO」も運営中。

🌐 公式サイト:https://easyease.net/ 📩 パートナーのご相談:https://easyease.net/contact/

展示会シーズンが近づくと、必ず出てくる相談がある。「ブースに映像を入れたいんだけど、正直どのくらい効果あるんですかね」というやつだ。ブース設計もキャッチコピーも作り込んだのに、通行人がチラ見して素通りしていく。この光景を何度も見てきたイベント担当者は多いと思う。

この記事では、来場者の滞在時間を伸ばすために意識すべき映像演出の工夫を3つ、具体的に書いていく。ふわっとした「効果的です」で終わらせず、実際に提案書に書けるレベルまで落とし込むつもりだ。

なぜ展示会ブースでは「映像を流すだけ」だと滞在時間が伸びないのか

展示会ブースの映像演出で来場者の滞在時間を伸ばす工夫

まず前提を整理したい。展示会のブースというのは、来場者にとって「立ち止まる理由」がなければ通り過ぎるだけの通路の一部でしかない。モニターに映像を流していること自体は、もはや珍しくない。だからこそ「流してるだけ」の映像は背景と化して、誰の目にも留まらなくなる。

参考までに、東京ビッグサイトのような大規模会場では年間を通して多数の展示会が開催され、来場者は限られた時間で膨大な数のブースの前を通過していく。その流れの中で足を止めてもらうには、映像の中身以前に「立ち止まる理由」を設計する必要がある。

僕がイベント会社の担当者と話すときによく感じるのは、映像を「ブースの説明資料」として捉えている人が多いということ。会社概要、製品スペック、導入事例。もちろんそれも大事だけど、その情報を伝える前に「足を止めてもらう」という別の仕事が映像にはある。説明と誘引は別の機能だと思って設計しないと、どんなに内容が良くても素通りされる。

滞在時間を伸ばす映像演出は、突き詰めると「情報を伝える設計」ではなく「立ち止まらせる設計」から始まる。この順番を意識するだけで、同じ予算でも効果は大きく変わってくる。

工夫①:最初の3秒で「動き」を作る

展示会場を歩いている来場者の視界に入るのは一瞬。テレビCMのように座って見てくれる環境じゃない。だから最初の3秒でどれだけ視線を止められるかが、その後の滞在時間を決める。

ここで意識すべきは「情報量」ではなく「動きの強さ」だ。静止画に近いスライドショーのような映像は、遠目から見たときに視界に入らない。逆に、人物が大きく動く・カメラが激しく寄る・文字が弾けるように出てくる、といった強い動きがあると、視界の端でも「何か動いた」と認識されやすい。

僕が提案時にイベント会社の担当者へ伝えるトークはこうだ。

「最初の3秒は製品説明を入れずに、動きだけで注目を作りましょう。ロゴが出るタイミングも3秒以降で構いません。まず“止まる理由”を作ってから、情報を渡す順番にしませんか」

これはオープニング映像の考え方と同じで、僕らが企業イベントのOPムービーを作るときも、最初の数秒に一番強いカットを置く。展示会ブースの映像も基本は同じ発想でいい。製品の魅力を伝えたい気持ちはわかるが、その前に「見る体制」を作らないと、情報はそもそも届かない。

チェックポイントとしては以下を提案時に確認するといい。

– 冒頭3秒に静止したカットや長いテロップだけの画面がないか – 音声がなくても内容が伝わる動きになっているか(展示会場は環境音でナレーションが聞こえないことが多い) – ループ再生前提で、途中から見ても違和感がない構成になっているか

この3つ目が意外と見落とされる。展示会の映像は多くの来場者が途中から見る。1本のストーリーを最初から最後まで見てもらう前提で作ると、途中から見た来場者にとっては「意味がわからない映像」になってしまう。

工夫②:モニターの高さと映像のサイズ感を合わせる

これは映像の中身の話ではなく、映像を「どう見せるか」の話。実はここを見落としているブースがかなり多い。

展示会場のモニターは、床から見上げる高さに設置されることが多い。壁面ブースなら特に、来場者の視線の高さより上に画面がくる。このとき、映像の中の文字が小さかったり、人物の顔が画面の下側に寄っていたりすると、見上げた角度からは非常に見づらくなる。

僕らが提案するときは、必ず「設置予定の高さ」と「来場者が立つ想定位置からの距離」をヒアリングしてから編集の構図を決める。これは撮影後の編集段階で調整できる部分なので、事前に聞いておけば十分間に合う。

具体的な段取りとしてはこの順番になる。

1. ブース図面からモニターの設置高さと来場者の動線(何メートル手前から見えるか)を確認する 2. その距離で文字がどのくらいの大きさに見えるかを想定し、テロップのフォントサイズを決める 3. 人物や製品が画面の中央〜やや上に来るよう構図を調整する(見上げた視線でも中心に見えるように) 4. 実際にモニターと同じ比率のプレビューで、遠目からのチェックを一度挟む

このプレビューチェックを提案に含めるだけで、他社との差別化になる。設置環境まで含めて確認する会社は少ない。イベント会社としては、ここを提案時のトークに入れておくと信頼を得やすい。

「モニターの設置高さと来場者の動線を教えてください。見上げる角度で文字が潰れないよう、テロップサイズを事前に調整します」

このひと言があるだけで、発注側は「ちゃんと現場をわかってる会社だ」と感じる。展示会映像で失敗しやすいのは、実は中身よりもこの「見え方の設計」を飛ばしてしまうケースだと僕は思う。

【イベント会社さまへ】

「この演出、映像でやりたいけど社内に手がない」——そんなときは、制作パートナーとして裏方で入ります。

御社の名前で納品できる形(下請け・OEM)にも対応しています。

👉 相談する:お問い合わせフォームはこちら

無料で相談する制作実績を見る

工夫③:ループの継ぎ目に「もう一度見たくなる仕掛け」を入れる

展示会用の映像は基本的にループ再生される。だからこそ、多くの制作会社が見落とすのが「継ぎ目」の設計だ。

同じ映像が単純に繰り返されると、来場者は無意識に「もう見た」と判断して離れていく。特にブース前に数十秒滞在するような接客中の来場者にとって、同じ映像がもう一度流れ始めた瞬間は「飽きのサイン」になりやすい。

ここで使える工夫が、ループの中に「変化のタイミング」を仕込むこと。具体的には以下のような方法がある。

– 冒頭のカットを毎ループ完全に同じにせず、2パターン用意して交互に差し込む – 数字や実績データが更新される演出を入れる(「導入社数」のカウントアップなど) – 最後のカットで次のループの冒頭が予告されるような繋ぎ方にする(映画の予告編のような感覚)

特に効果的なのは、接客のタイミングと合わせて「営業トークのきっかけになる場面」をループの中盤に置くこと。例えば製品の使用シーンで少し間があく瞬間を作っておくと、営業担当者が「ここ、実際にこういう場面で使われてるんです」と話しかけるきっかけになる。映像はブースの説明員が使う「トークのフック」としても機能させられる。

提案時にはこう伝えるといい。

「1ループを90秒として、40秒あたりに一度“間”を作ります。ここでブース担当の方が声をかけるタイミングを作れます。映像と接客をセットで設計しませんか」

この視点を持っている制作会社は少ない。映像単体の完成度ではなく、ブース全体の体験として設計する姿勢が、イベント会社としての提案力になる。

画像③

提案書に落とし込むときのチェックリスト

ここまでの3つの工夫を、実際の提案書やヒアリングシートに組み込むなら、以下の項目を確認しておくといい。

– 冒頭3秒に強い動きがあるか(静止カット・長いテロップだけで始まっていないか) – 音声なしでも内容が伝わる構成になっているか – モニターの設置高さと来場者の動線を事前にヒアリングしたか – 文字サイズと構図を、実際の視聴距離・角度で確認したか – ループの継ぎ目に変化や“間”を作ってあるか – 接客担当者が話しかけるタイミングを映像内に想定しているか

このチェックリストをそのまま発注側との打ち合わせで使ってもらってもいい。「ここまで詰めて提案してくる会社なんだな」と伝わるだけで、他社との相見積もりでも印象が変わってくる。

映像制作の費用は、素材の撮り下ろしの有無やモーショングラフィックスの量によって変わってくる。ブース用の映像も一律の金額で語るより、案件ごとに要件を詰めて見積もる方が発注側にとっても納得感がある。おおよその相場感でいえば10万〜50万円程度、規模により要相談というレンジで考えてもらえればいい。正確な金額は要件次第なので、まずは打ち合わせで無料お見積もりから始めるのが早い。

まとめ:滞在時間は「情報の量」ではなく「見る体制」で決まる

ブース映像の演出について3つの工夫を紹介した。最初の3秒で動きを作ること、モニターの設置環境に合わせて構図を調整すること、ループの継ぎ目に変化を仕込むこと。どれも派手な技術やトレンドの話ではない。だけど、この3つを丁寧に詰めるだけで、来場者が足を止める確率は確実に変わってくると僕は感じてる。

展示会の現場は一瞬の判断で人が流れていく場所だ。映像の中身をどれだけ磨いても、見る体制が整っていなければ届かない。逆に言えば、この3つを押さえるだけで、既存の映像素材でも改善できる余地は十分にある。次の展示会案件でクライアントに提案するときは、まず「今の映像がどう見えているか」を一緒に確認するところから始めてみてほしい。

展示会の現場や企業イベントで実際にどんな映像を作ってきたかは、制作実績のページにまとめている。提案の参考に実際の事例はこちらから見てもらえたら嬉しい。

【株式会社EasyEaseについて】

イベント会社の映像パートナー。企業イベントの撮影・編集・ライブ配信・OPムービー制作を、 御社案件の一部として裏方で担当します。テンプレートを活用して工数を抑えることで、OP映像をもっと多くの現場で使ってもらえる価格にしています。 広告代理店・制作会社向け自社サービス「CUROCO」も運営中。

🌐 公式サイト:株式会社EasyEase公式サイト 📩 パートナーのご相談:お問い合わせフォームはこちら

無料で相談する制作実績を見る

関連記事

周年イベントの提案書を書いていて、オープニング演出のところで手が止まったことはないだろうか。「今年も花火演出でいきますか」「去年と同じ構成で」——これは提案する側として一番避けたいパターンだ。クライアントには響かないし、社内でも代わり映えしないと言われてしまう。

企業イベントの映像演出を作ってきた中で「これは使い回しが効く」と感じた型を5つに絞って紹介する。周年イベント用に組んでいるが、そのまま社員総会や表彰式にも流用できる構成にしてある。提案の引き出しとして使ってもらえたら嬉しい。

周年イベントのオープニング演出提案、実は「型」が9割

周年イベントのオープニング演出を提案する打ち合わせの様子

周年イベントや社員総会の演出提案をしていると、クライアントから「オープニングでインパクトを出したい」というオーダーをよく受ける。でもこの「インパクト」が曲者で、具体的に何をすればいいのか、経験の浅い担当者ほど迷いやすい部分だと思う。

現場で見てきた感覚だと、演出プランでうまくいかないケースの多くは「演出のアイデアが単発で終わっている」ことが原因だ。花火のCGを入れる、ロゴを派手にする、といった単発の技だけでは、見た瞬間のインパクトはあっても記憶に残りにくい。

逆にうまくいくオープニングには共通点がある。「型」があって、その型の中に企業ごとの個別要素(沿革・数字・メンバーの顔)を差し込んでいる構成だ。型があるからこそ、限られた予算と時間の中でも一定の完成度が出せる。

今回紹介する5つは、実際に企業イベントの現場で組んできた構成をベースにしている。周年イベント用に作ってあるが、社員総会や表彰式でも「型」自体は共通して使えるので、提案の型として持っておくと便利だと思う。

アイデア①:カウントダウン型「沿革タイムライン」

会社の創業年から現在までを、年号とともに数秒ずつ映像で流していく構成。最後に現在の年でロゴが大きく出て会場が暗転から明転する、という定番の型だ。

使う場面:創業10周年、20周年、30周年など、節目の数字がはっきりしている周年イベント

セリフ例(提案時のトーク): 「創業から○年、節目の年号ごとに当時の写真や出来事を差し込んで、最後に現在の姿につなげる構成にしませんか。社員の方が入社した年に一瞬映ると、会場がざわつきますよ」

効く理由:人は自分に関係するタイミングで画面に注目する。創業年→3年後→5年後、と時系列で数字が動いていくと、社員一人ひとりが「自分の入社した年はどこだ」と画面を追い始める。これが会場の空気を作る。

社員総会に流用する場合は「創業からの沿革」を「今期の四半期ごとの振り返り」に置き換えるだけで、同じ型がそのまま使える。

アイデア②:数字カウントアップ型「実績の可視化」

売上高、拠点数、社員数、顧客数など、企業が誇れる数字をカウントアップのアニメーションで見せていく構成。数字が0から実数までパッと上がっていく、あの演出だ。

使う場面:具体的な実績数字を持っている企業(BtoBの製造業、士業法人、拠点展開している企業など)

セリフ例: 「御社の場合、拠点数が5年で3倍になってますよね。この伸びをカウントアップで見せると、社員の方にも会社の成長が数字で実感できると思います」

効く理由:定性的な「頑張ってきました」よりも、定量的な「拠点数がここまで増えました」の方が説得力を持つ。特に社員総会では、経営陣が口頭で話す数字よりも、映像で先に見せておいた方が後の話が入ってきやすくなる。

表彰式であれば「個人の成約件数」「チームの目標達成率」といった数字に置き換えて、同じカウントアップの型を使い回せる。

アイデア③:メンバー参加型「声を集めるOP」

社員やメンバーからのコメント・一言メッセージを短く編集でつなぎ、オープニングに使う構成。「入社何年目です」「この会社の好きなところは」といった短いインタビューをテンポよくつなげていく。

使う場面:社員のエンゲージメントを高めたい周年イベント、社員総会

セリフ例: 「オープニングの前に、各部署から1〜2名ずつ、15秒くらいの一言コメントを撮らせてもらえませんか。それを冒頭でテンポよくつなぐと、社員の方が『自分ごと』として見始めるので、その後の経営陣の話も聞く姿勢が変わってきます」

効く理由:知っている人の顔がスクリーンに映ると、その場にいる全員の集中力が一瞬で戻ってくる。経営陣の挨拶前の”つかみ”としてかなり機能する演出だ。

このタイプは撮影の段取りが肝になる。誰に何を聞くか、何人撮るか、当日のどのタイミングで撮影するかを事前に決めておくことで、当日の進行がぐっとスムーズになる。提案時点で「撮影対象は何名まで」「収録は何分でまとめるか」を先に握っておくのがポイントだ。

【イベント会社さまへ】

「この演出、映像でやりたいけど社内に手がない」——そんなときは、制作パートナーとして裏方で入ります。

御社の名前で納品できる形(下請け・OEM)にも対応しています。

👉 相談する:お問い合わせフォームはこちら

無料で相談する制作実績を見る

アイデア④:ロゴ変遷型「ブランドの積み重ね」

企業ロゴや社名が過去何度か変わっている場合、その変遷を映像内でモーフィング(変形)させながらつなげていく構成。旧ロゴから現ロゴへと滑らかに変化させることで「積み重ねてきた歴史」を視覚的に見せる。

使う場面:合併・社名変更・ブランドリニューアルを経験している企業の周年イベント

セリフ例: 「御社は合併で社名が一度変わってますよね。その変遷をロゴのモーフィングで見せると、単なる社名変更じゃなくて『成長の過程』として社員に伝わると思います」

効く理由:社名変更や合併は、社員によっては複雑な感情を伴う出来事だったりする。それを映像で「歴史の一部」として丁寧に見せることで、ネガティブな記憶をポジティブな文脈に転換できる。単なる演出テクニックというより、企業のブランド映像としてしっかり作り込むべき部分だと思っている。

社員総会での流用は少し工夫が必要で、ロゴ変遷の代わりに「組織図の変遷」「拠点マップの拡大」といった構成に置き換えると近い効果が出せる。

アイデア⑤:静止画ベース型「最小構成でまず体験してもらう」

写真素材とテキスト、シンプルなモーショングラフィックスだけで組む構成。動画素材を新規撮影せず、企業が持っている既存の写真とロゴデータだけで完成させる、最も身軽な型だ。

使う場面:初めて映像演出を導入する企業、予算的にまずは小さく試したいクライアント

正直に書いておきたいところで、僕らが提供しているテンプレートパッケージ(1本5万円)は、まさにこの静止画ベースの最小構成にあたる。型と素材、仕様書がセットになっていて、フォームに沿って入力すれば完成イメージがその場で固まる仕組みだ。この段階で必要な素材(ロゴ、写真、原稿など)を編集チームに支給してもらう形で制作を進める。

毎回ゼロから個別設計をしないからこそ、この価格で成立している。派手な作り込みができる構成ではないし、そこは誇張せずに伝えたい。ただ、目的は「安く済ませること」ではなく「映像を初めて体験してもらうこと」だと思っている。

映像を使ったことがない企業ほど「うちの規模では必要ない」と感じている。でも実際は、会場が暗転してOPが流れた瞬間、空気がふっと変わる。参加者の姿勢が変わる瞬間がある。あの体験は、一度味わってもらうしかないと感じている。

その最初の一回を止めているのが金額のハードルなら、そこを下げてでも体験してもらう価値がある。一度体験すると「次はエンディングも」「表彰式でも使いたい」と、自然に映像を使う場面が広がっていく。翌年「去年映像を入れたら反響が良かった、今年はもっと予算をかけよう」という判断につながることもある。

イベント会社にとってこれは、目先の1本の単価の話ではなく、クライアントの映像予算そのものを育てる一手になる。作り込みたくなったら、通常のオープニング映像制作でグレードアップすればいい。5万円は入口の最小構成であって、そこで完結させる必要はない。

社員総会でも流用できるオープニング演出のモーショングラフィックス

提案前に確認しておきたいチェックリスト

5つの型を紹介したが、どれを選ぶかはクライアントの状況次第だ。提案前に以下を確認しておくと、演出の方向性を決めやすくなる。

– 節目の数字(創業年数、拠点数、売上等)を持っているか → ①②向き – 社員のインタビュー撮影の許可・時間が確保できるか → ③向き – 社名やロゴの変遷があるか → ④向き – 初めて映像演出を導入する、もしくは予算を小さく試したいか → ⑤向き – 既存の写真・ロゴデータが揃っているか、それとも新規撮影が必要か

新規撮影が必要な場合は、当日の撮影対象・撮影時間・使用する部分をあらかじめ決めておくことが重要になる。誰を撮るか、どこで撮るか、何時に何が起きるかという段取りを事前に固めておけば、当日の撮影はスムーズに進む。一方、写真やロゴといった素材は編集段階で使うものなので、多少の追加や差し替えがあっても後から対応できる。段取りの情報は撮影前に、素材は編集に入る前に、と分けて考えておくと提案時の説明もしやすい。

社員総会や表彰式への流用を考えるときも、この5つの型のどれに近いかで考えると提案がまとまりやすい。沿革の代わりに四半期の振り返り、実績の代わりに個人の成約数、社員の声の代わりに部署ごとの一言、といった具合に、要素を入れ替えるだけで別のイベント種別にも展開できる。

まとめ:型を持っておくことが、提案の引き出しになる

周年イベントの冒頭の映像は、ゼロから考えると時間がかかるし、クライアントごとに毎回違う提案を作るのは大変な作業だ。でも型を5つ持っておけば、クライアントの状況(節目の数字があるか、社員の声を集めたいか、予算感はどうか)に応じて当てはめるだけで、提案のスピードも質も上がる。

僕自身、現場でこの5つの型を組み合わせて提案することが多い。単発の派手な演出よりも、型に沿って企業ごとの個別要素を差し込んだ方が、結果的に記憶に残るオープニングになると感じている。

この記事の型を、そのまま御社の提案書のテンプレートとして使ってもらえたら嬉しい。演出のアイデアが尽きたときに、また見返してもらえる記事になっていたらと思う。

【株式会社EasyEaseについて】

イベント会社の映像パートナー。企業イベントの撮影・編集・ライブ配信・OPムービー制作を、 御社案件の一部として裏方で担当します。テンプレートを活用して工数を抑えることで、OP映像をもっと多くの現場で使ってもらえる価格にしています。 広告代理店・制作会社向け自社サービス「CUROCO」も運営中。

🌐 公式サイト:株式会社EasyEase公式サイト 📩 パートナーのご相談:お問い合わせフォームはこちら

周年イベントや社員総会での映像演出の仕上がりは、実際の事例はこちらからご覧いただけます。

無料で相談する制作実績を見る

関連記事

イベント会社の営業さんやプランナーさんから、「Seedanceって聞いたことあるけど、具体的に何ができるものか説明できない」という相談をいただくことが増えました。SNSでは「Sora終了」「Kling3.0がヤバい」「Seedance 2.5でおじさんが美女に」といった見出しが次々に流れてきて、情報の濁流に足を取られそうになる気持ちはよくわかります。

この記事では、そうした濁流の中から「イベント制作の現場で実際に使える情報」だけを掬い上げて整理します。読み終えたときに、クライアントへ自信を持って説明できる状態を目指します。

Seedance 2.5とは何か。まず押さえるべき事実

Seedance 2.5は、動画生成AIの最新バージョンとして登場したモデルです。話題になったきっかけの一つが、「おじさんのダンス動画を、AIが美女のダンス動画として精密に再現した」という日経クロステックの記事でした。この事例が象徴しているのは、モーション(動き)のトラッキング精度が大幅に向上したという点です。人間の動きの癖、リズム、重心移動までを読み取って、別のキャラクターに違和感なく転写できる。これが今回のアップデートの核と言っていいです。

動画生成AI Seedance 2.5で生成した映像イメージ

さらに実用面で見逃せないのが、Seedance 2.5を搭載したAIアニメ制作プラットフォーム「PopPixs」の提供開始です。これはPR TIMESで正式にプレスリリースが出ていて、動画生成AIを単体のツールとしてではなく、「制作フロー全体に組み込むための基盤」として位置づける動きが加速していることを示しています。

僕が観測していて面白いと思うのは、この手のモデルが「単発の面白動画」で終わらず、「アニメ制作」「映像量産」という実務側のプラットフォームに組み込まれ始めている点です。実際、動画の生成から編集・量産までを一気通貫で支援する基盤を提供する企業への出資も報じられていて、業界全体が「単発の生成」から「量産できる制作基盤」へとシフトしていることが見えてきます。

Seedance 2.5で変わったこと、変わっていないこと

ニュースの見出しだけを追うと「AIですべて完結する時代が来た」と錯覚しがちですが、発表内容を丁寧に見る限り、そこまで単純な話ではありません。

変わったこと①:モーションの精度

先ほど触れたダンス再現の事例が示す通り、人物の動きを別のキャラクターに転写する精度が上がりました。これは「イベント演出動画に人物の動きを使いたいけれど、実写で撮影する時間もコストもない」というシーンで効いてくる進化です。

変わったこと②:制作プラットフォームへの統合

PopPixsのように、Seedance 2.5を土台にした「制作フロー全体を支援するツール」が出てきたことで、単発の実験ツールから実務ツールへの橋渡しが進んでいます。AIツールを検討する際は「このモデル単体で何ができるか」だけでなく「どのプラットフォームに組み込まれているか」まで見ないと判断を誤ります。

変わっていないこと:企画・構成・ブランドの文脈判断

一方で、Seedance 2.5がいくら進化しても変わっていないことがあります。それは「何を作るべきか」「その映像が誰に何を届けるべきか」という企画・構成の判断です。AIは与えられた指示を精密に実行するアシスタントであって、戦略家ではありません。AIに「かっこいいOPムービーを作って」と丸投げしても、企業の文化や大切にしている価値観までは汲み取ってくれない、というのが僕の見立てです。

イベント制作の現場で、Seedance 2.5クラスの技術をどう位置づけるべきか

ここからは、明日から使える判断基準の話をします。

判断基準①:AIが力を発揮する映像かどうかを先に仕分ける

社内イベントのオープニング映像、SNS用の告知動画、展示会のダイジェスト映像。こういうスピードと量産が求められる映像には、Seedance 2.5のような最新モデルが力を発揮します。一方で、企業のブランドムービーや周年映像、採用映像のように「その企業らしさ」が問われる映像は、AIだけでは物足りない仕上がりになりやすいです。

案件を受注する段階で、この仕分けを先にやっておくと提案の精度が上がります。「この映像はスピード重視だからAIとプロの組み合わせで」「この映像は企業のブランドが問われるから、しっかり人が設計する」と、クライアントに説明できる状態を作っておくことが大事です。

判断基準②:最新モデルの名前より「何に組み込まれているか」を見る

Seedance 2.5、Kling3.0、Sora2……次々と名前が出てきますが、名前を追いかけること自体には意味がありません。重視すべきは、そのモデルが「どんな制作プラットフォームに統合されているか」「実際の納品フローにどう組み込めるか」という視点です。一つのツールが終了しても代替が次々出てくるのが今のAI業界です。特定のツール単体に依存する体制は、半年後には前提が変わっているリスクがあります。

判断基準③:提案トークに落とし込む

実際にクライアントへ提案する場面を想定してみます。

> 「今回のオープニング映像、動画生成AIを使えば人物の動きを別カットに転用したり、実写では2〜3日かかる撮影を数時間で代替できる部分があります。制作期間を1週間ほど短縮できる見込みです。ただ、御社のブランドムービーのような、会社の歴史や想いを伝える映像は、AIだけでは表現しきれない部分があるので、そこは人の手でしっかり設計させてください」

こういう形で「AIで安くなります」ではなく「短縮できる工程と、じっくり作るべき工程を分けて提案します」と伝えると、クライアントの納得感が違います。

Seedanceなど生成AIを企業イベント映像に取り入れる制作現場

AI活用チェックリスト(提案前に確認すること)

– [ ] この映像は「スピード・量産」が優先されるか、「ブランド・文化の表現」が優先されるか – [ ] 使いたい動画生成AIは、単発ツールか、制作プラットフォームに統合されているか – [ ] AIで生成した素材を、最終的に誰が編集・調整するのか決まっているか – [ ] クライアントに「AIだから安い」ではなく「工程のどこを短縮できる手段か」として説明できているか – [ ] 最新モデルのアップデートで前提が変わったとき、代替手段を用意できているか

【AIをイベント案件に取り入れたいイベント会社さまへ】

「どこまでAIで作れて、どこからは人がやるべきか」——実際に検証した内容ベースでお話しします。

御社案件での使いどころを一緒に整理するところからで構いません。

👉 相談する:お問い合わせフォームはこちら

無料で相談する制作実績を見る

縦型ショート動画のトレンドとSeedance 2.5の接点

もう一つ押さえておきたいデータがあります。株式会社ヴァリューズの調査によると、縦型ショート動画のマーケティング活用で72.7%が効果を実感していて、最も多かった効果は「商品・サービスの理解促進」だったそうです。

これは企業イベントの告知動画やダイジェスト動画にも応用が効く話です。イベント本番の様子を縦型ショートに切り出して事前告知やアフターレポートとして配信する、という動きは今後さらに増えていくと見ています。そしてこの「短尺で量産する」用途こそ、Seedance 2.5のようなモデルが得意とする領域と重なります。

実写とAI生成を組み合わせるハイブリッドな制作手法も出てきています。イベント会場で撮影した実写素材に、編集段階でAI生成の補助カットを組み合わせる。こういう組み合わせ方が、今後のイベント映像の標準的な選択肢になっていくはずです。

まとめ:Seedance 2.5は「万能ツール」ではなく「選択肢の一つ」

Seedance 2.5は、モーションの再現精度が上がり、PopPixsのような制作プラットフォームへの統合も進んでいる、確かに注目すべきアップデートです。ただし、これによって「企画・構成・ブランドの文脈判断」まで自動化されたわけではありません。ここは何度でも強調したいポイントです。

AIニュースの見出しを追いかけるだけでは、現場の判断力は上がりません。大事なのは「このモデルは、自分たちの案件のどの部分に当てはめられるか」を冷静に仕分ける視点です。スピードと量産が必要な映像にはAIとプロの組み合わせを、企業の文化やブランドが問われる映像にはしっかり人の手を。この使い分けさえ持っていれば、次にどんな新しいモデルが登場しても、慌てずに評価できるはずです。

イベント制作会社の皆さんが、クライアントに「うちは最新技術も理解した上で、最適な選択肢を提案できる会社です」と言える状態を作ること。それが今回の記事のゴールです。

【株式会社EasyEaseについて】

イベント会社の映像パートナー。OPムービー・モーショングラフィックス・ イベント映像制作を、御社案件の裏方として担当します。 広告代理店・制作会社向け自社サービス「CUROCO」も運営中。

🌐 公式サイト:株式会社EasyEase公式サイト 📩 お問い合わせ:お問い合わせフォームはこちら

生成AIと人の手を組み合わせて実際に制作した企業イベント映像は、実際の事例はこちらからご覧いただけます。

無料で相談する制作実績を見る

関連記事

周年イベントの映像提案で「今年は映像に予算をかけたくない」と言われたこと、あるはず。でも本当の勝負は初回の受注額じゃない。来年、再来年にどう伸びるかの方が案件としての価値は大きい。今回は、最初の予算が小さくても次につながる提案の組み立て方を実務レベルで書く。

周年イベントの映像提案が「初回で終わる」理由

この手の提案がうまくいかないとき、原因は大体決まってる。クライアントが映像の効果を体験したことがないまま、いきなりフルスペックの提案をしてしまうケースだ。

10周年記念でオープニングムービーを30万円で提案したとする。クライアント担当者は「効果があるのは分かるが、今年は様子見で」と返してくる。これは担当者が悪いわけじゃない。映像を入れたことがない企業ほど「うちには必要ない」と思っている。使ったことがないから、価値の実感がまだないだけなんだと僕は思ってる。

ここで提案を諦めるか、粘るかで翌年の展開が変わる。イベント会社の担当者としては、ここで無理にフルスペックを押し込まない方がいい。まず”体験してもらう”ことを目的にした提案に切り替える。

周年イベントの映像提案を検討する打ち合わせ資料

初回提案を5万円に落とす設計術

何を削り、何を残すか

初回提案で予算を抑えるとき、大事なのは「何を削っても成立するか」の見極めだ。周年イベントのオープニングムービーは、静止画ベースの構成でも十分に会場の空気を変えられる。動画素材をふんだんに使ったハイクオリティな映像でなくても、企業ロゴ・沿革の年表・社員の集合写真・代表メッセージのテロップを組み合わせるだけで、暗転→開始の瞬間の緊張感は作れる。

僕らが提供しているテンプレート型のOPムービーパッケージは、まさにこの発想で組んである。1本5万円。月額じゃなく単発の金額だ。テンプレート(型)と仕様書をセットにして、発注側はフォームに入力するだけで完成イメージがその場で固まる。編集者がそのフォーム内容に沿って組み立てる。毎回ゼロから個別設計しない分、人の手が介在する範囲を絞ってる。だから低予算で成立してる。安く見せるために品質を落としてるわけじゃない。

ここは正直に言っておきたい。5万円版はあくまで静止画ベースの最低限の構成だ。ここで過剰な期待をさせると、次年度の提案がしづらくなる。「今年はまず体験してもらう回」だとクライアントにも伝えた上で出す方がいい。

提案時のセリフ例

初回提案でクライアントに出すトークはこんな感じで組める。

> 「10周年ということで、まずは映像を入れてみるところから始めませんか。今回は5万円のテンプレートプランで、会場暗転後にロゴと沿革、社員の皆さんの写真を使ったオープニングを流します。制作期間は発注から2週間ほど見ていただければ十分です。フルスペックの映像制作だと相応の予算と制作期間が必要になりますが、まずは映像が入ることで会場の空気がどう変わるか、体験していただくのが目的です」

金額の話を「安さ」で押すんじゃなく、「体験してもらうための入口」だと明確に伝える。ここが伝わってるかどうかで、次年度の会話の質が変わる。

次年度10万円への伸ばし方(3つの設計ポイント)

初回5万円で終わらせず、翌年の予算を伸ばすには、提案の”仕込み”を初回の段階でやっておく必要がある。ここでは3つに分けて書く。

① 初回提案時に「その先」を見せておく

5万円のテンプレートは静止画ベースの最小構成だと伝えた上で、「作り込みたい場合は通常のオープニング映像制作でカスタムできます」と一言添えておく。この一言があるかないかで、翌年の提案のハードルが全く変わる。

クライアント担当者の頭の中に「来年はもっと動きのある映像にできる」という選択肢が残る。何も言わずに5万円だけ提示すると、翌年も「去年と同じでいいですよね」で終わってしまう。

② イベント当日の反応を「言葉にして」拾う

会場が暗転してオープニングが流れた瞬間、参加者の姿勢が変わる。スマホを見ていた人が顔を上げる。私語が止まる。この変化は、その場にいた人にしか実感として残らない。

だからこそ、イベント終了後の報告や振り返りの場で、この変化を言葉にして担当者に伝えることが大事だと僕は思ってる。「今年、映像が流れた瞬間に会場の空気が変わりましたね」の一言があるかないかで、担当者の記憶の残り方が変わる。担当者自身も体感してるはずなんだけど、言語化されないと社内稟議の場でうまく説明できないことが多い。

③ 「来年はここまでできます」を具体的な金額とセットで出す

年明けや次年度の企画が動き出すタイミングで、「去年は静止画ベースでしたが、来年は社員インタビューの動画素材を使ったオープニングにできます。予算感としては10万円前後からご相談可能です」と、具体的な次のステップを提示する。

ここで大事なのは、金額を曖昧にしないこと。「もう少し予算があれば」ではなく、具体的な数字を出す。担当者が社内で予算を通すとき、数字がないと稟議が進まない。

このステップを踏むことで、「去年は映像を入れたら反響が良かった。今年はもっと予算を組んで盛大にやろう」という判断につながっていく。イベント会社にとっては、クライアントの映像予算そのものを育てる一手になる。目先の単価じゃなく、来年・再来年の案件規模の話として捉えた方がいい。

【イベント会社さまへ】

「この演出、映像でやりたいけど社内に手がない」——そんなときは、制作パートナーとして裏方で入ります。

御社の名前で納品できる形(下請け・OEM)にも対応しています。

👉 相談する:お問い合わせフォームはこちら

無料で相談する制作実績を見る

提案が通った後に整えておきたいこと

映像の提案が通った後、意外と見落とされがちなのが、次年度に向けた情報の引き継ぎ方だ。

周年イベントの映像は、今年の担当者と来年の担当者が同じとは限らない。だからこそ、今年の提案内容・見せた素材・当日の反応をどう記録し、誰でも参照できる形にしておくかが、次年度提案の起点になる。撮影当日に必要な香盤や登壇者情報、会場情報といった段取り情報を毎年イチから集め直すのではなく、前年の情報を土台にできれば、進行はぐっとスムーズになる。

初回提案が通った時点で、「来年度提案時に使う資料一式(当日の写真、担当者の感想、金額の内訳)」を整理しておくこと。これが次年度の予算増額の土台になる。提案書の中身がどれだけ良くても、去年何をやったかが曖昧なままだと、「今年はまあ良かったけど、来年はどうしようか」で終わってしまう。周年イベントのような継続案件では特にそうだ。

SNS展開という周辺提案も視野に入れる

周年イベントの現場では、当日のオープニングだけでなく、イベント後にダイジェスト動画をSNS用に切り出して展開する提案も増えてきた。エンディング映像や当日の様子を撮った素材を編集で組み立て直せば、社内報用・採用広報用・SNS告知用と、別の場面でも使い回せる。

これは初回提案の時点で「今年はオープニングだけですが、当日の撮影素材はSNS用のダイジェストにも展開できます」と一言添えておくだけでいい。次年度の予算増額とは別に、同じ予算内でできる周辺提案として、担当者との会話のきっかけになる。

次年度予算の拡大につながった周年イベント映像の制作現場

イベント業界全体の動向やデータは、一般社団法人日本イベント産業振興協会(JACE)が公開している資料も提案の裏付けとして使える。

提案時に使えるチェックリスト

最後に、周年イベントの提案で実際に使えるチェックリストをまとめておく。

– [ ] 初回提案は「体験してもらうこと」が目的だと明確に伝えたか – [ ] 5万円版が静止画ベースの最小構成であることを正直に説明したか – [ ] 「作り込みたい場合はカスタムできる」という次のステップを一言添えたか – [ ] イベント当日の会場の空気の変化を、担当者に言葉にして伝えたか – [ ] 次年度提案のタイミングで、具体的な金額(10万円前後など)を提示したか – [ ] 次年度提案用の資料(当日の写真、担当者の感想、金額の内訳)を整理してあるか – [ ] SNS展開などの周辺提案も視野に入れているか

まとめ:初回の金額より、来年の予算をどう育てるか

周年イベントの映像は、初回の受注額だけを見てると本質を見誤る。5万円のテンプレートプランでも、映像を体験してもらうという目的をきちんと果たせれば、翌年の予算は自然と育っていく。

大事なのは、削るところは削り、伝えるべきことは正直に伝え、次のステップを具体的な数字で見せること。そして提案が通った後の情報の引き継ぎまで含めて、初めて「継続してお願いしたい会社」になれるんだと僕は思ってる。

映像は一度体験してもらえれば、次は自然と広がっていく。会場が暗転してオープニングが流れた瞬間の空気の変化、あれは一度味わってもらうしかない。その最初の一回を、金額のハードルで諦めさせないこと。それが結果的に、来年・再来年の案件規模を大きくしていく。

【株式会社EasyEaseについて】

イベント会社の映像パートナー。企業イベントの撮影・編集・ライブ配信・OPムービー制作を、 御社案件の一部として裏方で担当します。テンプレートを活用して工数を抑えることで、OP映像をもっと多くの現場で使ってもらえる価格にしています。 広告代理店・制作会社向け自社サービス「CUROCO」も運営中。

🌐 公式サイト:株式会社EasyEase公式サイト 📩 パートナーのご相談:お問い合わせフォームはこちら

動画制作の費用はおおよそ10万〜50万円が目安で、規模や本数によって大きく変わる。料金は案件ごとに条件が異なるため、まずは打ち合わせで無料お見積もりをご依頼ください。

5万円のテンプレート型から作り込みまで、実際に納品した周年イベント映像は実際の事例はこちらからご覧いただけます。

無料で相談する制作実績を見る

関連記事

「映像も入れられますよ」と提案書に書いたはいいものの、いざクライアントに詳しく聞かれると答えられない。イベント制作会社の営業さんから、そんな相談を受けることがある。この記事では、実際に組んでいる5万円のテンプレート型OPムービーパッケージを例に、映像OEMで自社名義で映像を売るという考え方を、金額感まで含めて書いていく。

イベント会社にとって「映像」が提案しにくい理由

イベント会社の営業さんと話していて感じるのは、映像そのものが悪いんじゃなくて「提案の型」がないだけだということだ。

企業イベントの提案書を作るとき、会場・音響・司会・什器はすぐに金額が出る。でも映像だけは「別途お見積り」になりがちだ。理由は単純で、映像制作会社に個別に発注すると、都度ヒアリング・都度見積もりになるから。担当者からすると「いくらになるかわからないものを、クライアントに提案しづらい」という状態になる。

これはクライアント側の心理も同じだ。周年イベントや社員総会を担当している企業のイベント担当者は、映像を使ったことがない場合が多い。「うちの規模でOPムービーなんて大げさじゃないか」「見積もりが高そうで怖い」と、聞く前から諦めているケースをよく見かける。

イベント会社が持つべきなのは「映像制作会社との人脈」ではなく「自社の商品として即答できる映像メニュー」だと僕は思っている。見積もり待ちにならず、その場で「OPムービーなら5万円からできますよ」と言えること。これがあるかないかで、提案の通りやすさがまったく違ってくる。

映像OEMを検討するイベント会社の営業担当と提案書

映像OEMという仕組みの中身

僕らがイベント会社さんに提供しているのは、テンプレート型のオープニングムービーパッケージだ。仕組みはシンプルにしてある。

料金は1本あたり5万円。月額でも継続契約でもない。中身は、映像のテンプレート(型)と素材、それに仕様書がセットになっていて、発注する側はフォームに沿って情報を入力するだけ。会社名、イベントタイトル、使いたい写真、テーマカラー、こういった項目を埋めていくと、入力した時点でその場で完成イメージが固まる仕組みになっている。

そのフォームの内容をもとに、After Effectsを扱える編集者が実際の制作を行う。毎回ゼロから個別に設計するわけではないので、人の手が介在する範囲を絞っていて、それが低予算で成立する理由になっている。品質を落として安くしているわけではなく、テンプレート化して工数を圧縮している、というのが正確なところだ。

そしてここが一番大事なポイントなのだが、このパッケージは御社(イベント会社)の名義で納品できる。EasyEaseの名前は出さない。イベント会社が自社のクライアントにいくらで販売するかも完全に自由で、僕らはそこに一切口を出さない。1本5万円で卸して、それをいくらで売るかは御社の商品戦略だ。

つまりOEMというのは「映像制作を裏側で肩代わりしてもらう」仕組みだ。イベント会社は自社の提案メニューとして映像を持てるようになる。

5万円版でできること、できないこと

ここは正直に書いておきたい。5万円のパッケージは、静止画ベースの最低限の構成だ。動画素材をふんだんに使った作り込みや、複雑なモーション、企業ロゴのアニメーションを凝りたい、というレベルの要望には応えきれない。

過剰な期待を持たせるつもりはなく、これは「映像を初めて使う企業に、まず体験してもらうための入口」として設計している。

そこから「もっと作り込みたい」「動画素材も使いたい」となった場合は、EasyEaseの通常のオープニング映像制作料金でカスタム制作に切り替えられる。つまり5万円は最小構成の入口であって、そこから上のグレードへ広げていける二段構えになっている。

イベント会社の営業さんに伝えたいのは、この「入口があること」自体に価値があるということだ。今まで映像の相談を受けても「じゃあ見積もりしますね」で止まっていたところが、「まず5万円のプランからいけますよ」の一言で会話が前に進む。

安さの理由と、本当の目的

「なんでそんなに安くできるんですか」と聞かれることがある。答えはシンプルで、テンプレート化して、毎回ゼロから設計する部分を減らしているからだ。技術がすごいから安いわけではない。

でも、この価格設定の本当の目的は「安さ」自体ではない。目的はただ一つで、エンドクライアントに”映像の力”を体験してもらうことだ。

映像を使ったことがない企業ほど「うちには必要ない」と思っている。使ったことがないから価値がわからないだけなんだと思う。会場が暗転して、OPムービーが流れた瞬間。あの空気の変わり方は、体験しないと伝わらない。ざわついていた会場が静かになって、スクリーンに視線が集まる。あの瞬間を一度味わってもらうしかない。

その”最初の一回”を邪魔しているのが金額のハードルだと僕は思っている。だから価格を下げている。安くすること自体がゴールなのではなく、体験してもらうためのハードルを下げているだけだ。

一度体験すると、次は「エンディングも映像にしたい」「表彰式でも使いたい」と、映像を使える場面が自然に広がっていく。そして翌年、「去年映像を入れたら反響が良かった。今年はもっと予算を組んで盛大にやろう」という判断につながっていく。

イベント会社にとってこれは、目先の単価の話ではない。クライアントの映像予算そのものを育てる一手であって、来年・再来年の案件規模を大きくする種まきだと僕は捉えている。

【イベント会社さまへ】

「この演出、映像でやりたいけど社内に手がない」——そんなときは、制作パートナーとして裏方で入ります。

御社の名前で納品できる形(下請け・OEM)にも対応しています。

無料で相談する制作実績を見る

新規クライアントとの接点を、案件につなげる動き方

映像を自社の商品として持てるようになったら、次に大事なのは「そのメニューを提案するタイミング」を逃さないことだと思っている。

これはイベント会社の営業さんに当てはまる話だ。展示会や商談で「映像も使えるんですね」という反応をもらった瞬間が一番の勝負どころになる。その場で「OPムービーなら5万円のプランからご用意できます」と即答できるかどうかで、次のアポにつながるかが変わってくる。

見積もり待ちで数日空けてしまうと、担当者の熱量は下がりやすい。逆にその場で金額感まで示せると、「じゃあ次回の周年イベントで検討したい」という具体的な話に進みやすくなる。

新規の接点ができた当日か翌営業日中に社内で共有し、次に誰が何を動かすかをタスク管理表に反映しておく。これが地味だけど、案件化のスピードを上げる一番の方法だと僕は考えている。

提案の場で使えるセリフと段取り

具体的にどう提案するか、現場で使える形をそのまま書いておく。

初回商談での切り出し方 「周年イベントや社員総会で、オープニングに映像を使うケースが増えています。弊社では5万円からご用意できるプランがあって、フォームに会社名やテーマカラーを入れていただくだけで、その場で完成イメージを確認できます」

ポイントは金額を最初に言い切ること。「別途お見積り」より「5万円から」の方が、担当者にとって社内稟議を通しやすい。

予算を渋られたときの返し方 「まずは今回、最小構成の5万円のプランで映像の効果を体感していただいて、来年の周年ではもう少し作り込んだ形にステップアップする、という進め方もできます」

これは事実として二段構えの仕組みがあるから言えるセリフで、無理な誇張ではない。

社内タスクとしてのチェックリスト – 新規接点ができた当日〜翌営業日中に社内共有 – 映像提案が刺さりそうな案件かどうかを営業担当が一次判断 – 刺さりそうであれば、5万円プランの資料をその場で送付できる状態にしておく – 進捗はタスク管理表に反映し、誰が次のアクションを持つか明確にする

これをルーティン化しておくだけで、映像提案の打率は変わってくるはずだ。

5万円テンプレート型OPムービーパッケージの構成イメージ

OEMを組む上でイベント会社が確認すべきポイント

最後に、実際にOEMでパートナーを探す場合に確認しておいた方がいいポイントを整理しておく。

① 名義を渡してもらえるか 自社名義で納品できないと、クライアントに「外注してる」とバレてしまい、イベント会社としての信頼に関わる。ここは契約前に必ず確認すべきところだ。

② 販売価格に口を出されないか 卸値が決まっていても、販売価格まで縛られると自社の利益設計ができなくなる。ここは自由であるべきところだ。

③ 5万円版の範囲がどこまでか 静止画ベースなのか、動画素材を使えるのか。ここが曖昧なまま提案すると、後でクライアントとの認識ズレが起きる。事前にサンプルを見せてもらうのが確実だ。

④ カスタムへのステップアップができるか 5万円版で終わりではなく、上のグレードに広げられる設計になっているか。これがあることで、翌年以降の提案の伸びしろが生まれる。

まとめ

映像を自社の提案メニューに組み込むというのは、単に「安い映像を仕入れる」という話ではないと僕は思っている。クライアントに映像体験を届ける入口を持つこと、そしてその体験から翌年以降の予算を育てていくこと。この二つが本質だ。

5万円のテンプレートパッケージは、その入口をつくるための最小構成であって、そこから先の作り込みは案件ごとに広げていける。イベント会社さんが自社名義でこの仕組みを持てれば、提案の場での即答力が変わってくるはずだ。

新規の接点ができたときにすぐ動ける体制を社内に作っておくこと。これも合わせてやっておくと、映像提案から実際の案件化までのスピードが上がっていくと思う。

イベント業界全体の市場規模や需要動向は、一般社団法人日本イベント産業振興協会(JACE)が公表している統計が参考になる。自社メニュー化するかを社内で検討する際の裏づけ資料としても使いやすい。

EasyEaseが実際に手がけた企業イベント映像・OPムービーは制作実績ページにまとめています。実際の事例はこちら。対応範囲はサービス全般はこちらからご覧いただけます。

なお、テンプレート型の5万円パッケージから作り込む場合の映像制作費はおおよそ10万〜50万円が目安で、規模や本数によって変わります。料金は案件ごとに条件が異なるため、まずは打ち合わせで無料お見積もりをご依頼ください。

無料で相談する制作実績を見る

【株式会社EasyEaseについて】

イベント会社の映像パートナー。企業イベントの撮影・編集・ライブ配信OPムービー制作を、 御社案件の一部として裏方で担当します。テンプレートを活用して工数を抑えることで、OP映像をもっと多くの現場で使ってもらえる価格にしています。 広告代理店・制作会社向け自社サービス「CUROCO」も運営中。

公式サイト:株式会社EasyEase公式サイト / パートナーのご相談:お問い合わせフォームはこちら

関連記事

周年イベント映像の提案、出したはいいけど「一旦持ち帰ります」で止まったこと、ないだろうか。イベント会社さんの提案書を横で見せてもらう機会が多いが、通る提案書と通らない提案書には、はっきりした違いがある。今回はその違いを、実際に稟議を通すための具体策として書いていく。

周年イベント映像の稟議が通らない提案書に共通する3つの穴

周年イベントの映像提案は、他の演出と違って「経営層の決裁」を通らないといけない場面が多い。社内イベントの担当者がいくら気に入っても、最終的に役員や社長が首を縦に振らなければ予算はつかない。ここを見誤ると、担当者止まりで提案が消える。

通らない提案書には、大きく3つの穴がある。

穴①:金額しか書いていない 「オープニングムービー制作費:30万円」だけが書かれた見積もり。これでは決裁者は何に金を払うのか判断できない。何分の映像で、何が映って、それが会場でどう流れるのか、イメージできる材料がない。

穴②:過去の実績が「他社事例」のまま 「弊社の制作実績」として他の企業の映像を見せるのは悪くない。でも自社の周年イベントに当てはめたときにどうなるかまで翻訳されていないと、決裁者には「よそはよそ、うちはうち」で終わってしまう。

穴③:目的が「演出」で止まっている 「会場を盛り上げます」「感動的な演出になります」だけでは、決裁者が求めている「投資対効果」の言葉になっていない。周年イベントの映像は、社内向けなら求心力、社外向けなら会社の信頼構築という経営目的につながっている。そこまで書けているかどうかが分かれ目になる。

周年イベント映像の稟議を通す提案書のイメージ

稟議を通す提案書の作り方(具体的な段取り)

ここからは、イベント会社さんに提案する際に一緒に組み立てている段取りを出していく。

ステップ1:決裁者が誰かを最初に聞く

これは基本だけど抜けがち。周年イベントの場合、決裁者が「人事部長」なのか「社長本人」なのか「経営企画」なのかで、刺さる言葉が全然違う。

社長が決裁者なら、映像を通して「会社の歴史や理念がどう伝わるか」を軸にする。人事部長なら「メンバーのモチベーションやエンゲージメント」を軸にする。ここを提案前に必ず確認しておくこと。

ステップ2:見積もりを「型」で見せる

金額だけをポンと出すのではなく、構成案とセットで出す。

例えばオープニングムービーなら – 会社設立からの歩みを振り返るパート(30秒) – 現在のメンバーやプロジェクトを紹介するパート(30秒) – 未来へのメッセージパート(20秒)

という構成案を先に見せて、その上で金額を提示する。決裁者は「何にいくら払うか」が見えて初めて判断できる。

ステップ3:静止画ベースの入口を用意しておく

周年イベントといっても、予算規模は会社によって全く違う。創業5周年の企業と創業50周年の企業では、決裁者が動かせる金額の桁が変わってくる。

EasyEaseでは、オープニング・エンディング映像をテンプレート化した5万円のパッケージを用意している。これは静止画ベースの最低限の構成で、写真とテキストを流し込む形の映像になる。ここから作り込みたい場合は、通常のオープニング映像制作でカスタムしていく二段構えにしている。

なぜこの価格にしているかというと、テンプレート化することで毎回ゼロから個別設計する部分を減らしているから。品質を落として安くしているわけではなく、人の手が介在する範囲を絞ることで成立させている。

これがなぜ「稟議が通りやすい会社」につながるかというと、決裁者にとって「まず一回、映像を試してみる」という選択肢を提示できるからだ。いきなり数十万円の稟議を上げるより、5万円から始めて「来年はもっと予算を組もう」という流れを作れる方が、社内で通しやすい。

無料で相談する制作実績を見る

セリフ例:決裁者に響く言い方 vs 響かない言い方

ここは実際に現場で使えるトーク例を出しておく。

響かない言い方 「感動的な映像で、会場が盛り上がると思います」

これは誰でも言える。決裁者には「盛り上がるかどうか」より「投資する理由」が必要。

響く言い方(社長決裁の場合) 「今年の周年式典で、創業からの歩みを3分間の映像にまとめます。会場が暗転してこの映像が流れた瞬間、参加してるメンバー全員が同じ物語を共有する時間になります。この一体感が、来期の経営方針を伝える前段として効いてきます」

響く言い方(人事部長決裁の場合) 「表彰式のオープニングに映像を入れることで、表彰されるメンバーの緊張感と、見てるメンバーの期待感が一段上がります。この差は、翌日からの現場の空気に出てきます」

数字や期間、具体的な場面を入れることで、決裁者が頭の中でイメージできるようになる。「効果的です」だけで終わらせないことが重要。

【イベント会社さまへ】

「この演出、映像でやりたいけど社内に手がない」——そんなときは、制作パートナーとして裏方で入ります。

御社の名前で納品できる形(下請け・OEM)にも対応しています。

👉 相談する:お問い合わせフォームはこちら

稟議通過チェックリスト

提案前に、この6項目を確認してほしい。

– [ ] 決裁者が誰か特定できているか – [ ] 決裁者の関心(社内求心力/対外信頼/メンバーのモチベーション)を把握しているか – [ ] 金額だけでなく構成案をセットで提示しているか – [ ] 予算規模に応じた「入口」の選択肢を用意しているか – [ ] 「投資対効果」につながる言葉で説明できているか – [ ] 過去の実績を、その会社の状況に翻訳して伝えているか

このチェックリストを埋めた状態で提案書を出すのと、金額表だけで出すのとでは、決裁までのスピードが変わってくる。

周年イベント映像の稟議通過チェックリスト

なぜ「体験してもらうこと」が来年の予算につながるのか

この5万円のパッケージを作った理由は、安さそのものが目的じゃない。映像を使ったことがない企業ほど「うちには必要ない」と思い込んでる。それは使ったことがないから、価値が分からないだけなんだと思う。

会場が暗転して、オープニング映像が流れた瞬間。参加者の空気が変わる。姿勢が変わる。この体験は、一度味わってもらうしかないと僕は考えてる。

その最初の一回を邪魔してるのが、金額のハードルだ。だから価格を下げてる。

一度体験すると「次はエンディングも映像でやりたい」「表彰式でも使いたい」と、映像を使える場面が自然に広がっていく。そして翌年、決裁者から「去年は映像を入れたら反響が良かった。今年はもっと予算を組んで盛大にやろう」という判断が出てくる。

イベント会社にとってこれは、目先の1本の単価の話じゃない。クライアントの映像予算そのものを育てる一手になる。来年、再来年の案件規模の話につながっていく。

まとめ

周年イベントの映像提案の稟議が通るかどうかは、演出のクオリティだけでは決まらない。決裁者が誰で、何を判断基準にしているかを見極めて、その言葉に翻訳できているかが分かれ目になる。

金額だけの見積もりではなく構成案とセットで出すこと。予算規模に応じた入口を用意しておくこと。そして「盛り上がります」ではなく、決裁者の経営目的につながる言葉で伝えること。この3つを意識するだけで、提案の通り方はかなり変わってくると僕は感じてる。

次にイベント会社さんが周年イベントの提案書を作るときは、このチェックリストを一度当てはめてみてほしい。埋まらない項目があれば、そこが今回の提案の弱点になっている可能性が高い。

【株式会社EasyEaseについて】

イベント会社の映像パートナー。企業イベントの撮影・編集・ライブ配信・OPムービー制作を、 御社案件の一部として裏方で担当します。テンプレートを活用して工数を抑えることで、OP映像をもっと多くの現場で使ってもらえる価格にしています。 広告代理店・制作会社向け自社サービス「CUROCO」も運営中。

🌐 公式サイト:株式会社EasyEase公式サイト 📩 パートナーのご相談:お問い合わせフォームはこちら

イベント映像の予算感や社内稟議の進め方は、業界全体の動向を押さえておくと説得力が増す。一般社団法人日本イベント産業振興協会(JACE)が公表しているイベント市場の統計も、決裁者向け資料の裏づけとして使いやすい。

EasyEaseが実際に手がけた企業イベント映像・OPムービーは制作実績ページにまとめています。実際の事例はこちら。ご依頼いただけるサービス全般はこちらからご覧いただけます。

なお、映像そのものの制作費はおおよそ10万〜50万円が目安で、規模や本数によって変わります。まずは打ち合わせで無料お見積もりをお出ししますので、お気軽にご相談ください。

無料で相談する制作実績を見る

【株式会社EasyEaseについて】

イベント会社の映像パートナー。企業イベントの撮影・編集・ライブ配信OPムービー制作まで、案件の一部として裏方で担当します。広告代理店・制作会社向け自社サービス「CUROCO」も運営中。

公式サイト:株式会社EasyEase公式サイト / パートナーのご相談:お問い合わせフォームはこちら

関連記事

「今回、映像は予算的に厳しくて…」

提案の最後にクライアントからこの一言が出た瞬間、そのまま引き下がってしまう営業は多い。この言葉を額面通り受け取って提案を畳んでしまうのは、正直もったいない。

「予算が厳しい」と言われたときに、その場で確認すべき3つの前提条件がある。ここを聞かずに引き下がるか、聞いた上で再提案するかで、案件の着地点は大きく変わる。

そもそも「予算が厳しい」は、多くの場合ただの入口の断り文句

先に僕の考えを言っておく。「予算が厳しい」というのは、本当に映像予算がゼロという意味じゃないケースが多い。

・映像の価値がまだ社内で共有できていない ・過去に映像を入れたことがなく、比較対象がない ・「動画=高いもの」という漠然としたイメージだけで判断している ・決裁者が別にいて、担当者レベルでは踏み込めない

こういう状態のときに、営業側が「金額」の話だけで押そうとすると、通らないことが多い。クライアントの頭の中では「映像=コスト」としか変換されていないからだ。ここに「体験」という補助線を引けるかどうかが分かれ目になる。

ちなみにイベント業界全体の産業規模は、一般社団法人日本イベント産業振興協会(JACE)が毎年推計を公表しています。市場全体の動きを押さえておくと、予算の話をするときの前提が共有しやすくなる。

「予算が厳しい」と言われた商談の場面イメージ

これまで見てきた中で、「予算が厳しい」を最終的に覆せた案件には、共通して次の3つの前提条件を担当者側と一緒に確認できていた。

前提条件①:「予算が厳しい」のは”全体予算”か”映像単体”か

まず確認すべきは、これがイベント全体の予算の話なのか、映像という項目単体の話なのかという切り分けだ。

多くの場合、イベント全体の予算はすでに会場費・什器・司会・ケータリングなどで大枠が固まっていて、「残った枠に映像が入るかどうか」という話になっている。つまり映像は”最後に足すオプション”として扱われている。

僕が実際に使う確認の切り口はこうだ。

> 「全体のご予算感というより、映像にお使いいただける金額感がまだ見えていない、というイメージですよね?たとえば表彰式の時間だけ、5万円くらいの規模感からご案内することもできるんですが、それでもハードル高いですか?」

このセリフのポイントは、「5万円」という具体的な数字を先に置くこと。金額感が分からないまま「高そう」というイメージだけで断られているケースでは、この一言で空気が変わることがある。

EasyEaseでは、テンプレート型のOPムービーを1本5万円で提供している。ゼロから毎回設計するのではなく、型と素材と仕様書をセットにして、フォーム入力だけで完成イメージが固まる仕組みだ。これは静止画ベースの最低限の構成で、そこから作り込みたい場合は通常のオープニング映像制作としてグレードを上げていける。

つまり「予算が厳しい」に対して、いきなり通常単価をぶつけるんじゃなくて、”最初の一回を体験してもらうための入口”を用意できるかどうか。ここが前提条件①の核心だ。

前提条件②:決裁者は「担当者」なのか、それとも別にいるのか

「予算が厳しい」という言葉が、目の前の担当者自身の判断なのか、それとも上司や決裁者からすでに「今回は映像なし」と言われている既定路線なのか。この違いはとても大きい。

もし担当者自身の裁量の範囲での発言であれば、こちらから小さい提案(前提条件①で出した5万円のような入口)を出すだけで、担当者の判断だけで通せる可能性がある。

一方、決裁者からすでに「映像は今回なし」と言われている場合は、金額の話をどれだけしても意味がない。この場合に確認すべきはこの一言。

> 「決裁者の方が”映像は不要”とおっしゃっているのか、それとも”今回は様子見”とおっしゃっているのか、そのあたりのニュアンスって伺えたりしますか?」

「不要」と「様子見」では、次にこちらが取るべきアクションがまったく違う。「様子見」であれば、今回は無理に押さず、次回イベントに向けて種をまく方向に切り替える。ここで無理に押し込むと、逆に「しつこい会社」という印象がついて、次のチャンスも失う。

決裁者が別にいる場合の社内意思決定構造を確認する打ち合わせ

要件をすり合わせる打ち合わせは、映像の仕様を決める場であると同時に、こういう社内の意思決定構造を確認する場でもある。対面の打ち合わせでは、担当者が話すときの言葉の選び方や間の取り方から、「これは担当者の裁量で決められる話だな」「これは上に確認が必要そうだな」というのが見えてくることがある。オンラインの資料のやり取りだけでは拾いにくい温度感なので、可能であれば一度は対面の場を作っておきたい。

前提条件③:「今回」限定の話なのか、来年以降も含めた話なのか

3つ目の前提条件はこれ。クライアントが言っている「今回は」という言葉が、本当に「今回のイベントだけ」の話なのか、それとも「映像自体を今後もやらない」という話なのか。

ここを混同すると、提案の組み立て方が根本的にズレる。

「今回は予算的に厳しいけど、来年はもう少し規模を大きくしたい」と考えているクライアントに対しては、今回は無理に映像を通そうとせず、次年度への布石を残す提案の方が刺さる。逆に「映像自体があまり必要だと思っていない」というクライアントには、体験してもらう機会そのものを作らないと話が進まない。

僕が実務でよく使う確認の切り口はこれだ。

> 「今回は見送りということで承知しました。ただ、来年度以降も同じような周年イベントや表彰式は継続される予定ですか?もしよろしければ、次回に向けて簡単な企画案だけ先にお渡しさせていただくことも可能です」

ここで大事なのは、「今回売れなかったから終わり」にしないこと。むしろ「今回見送り」という返事は、来年の予算取りに向けた種まきの合図だと捉えている。

映像を一度も使ったことがない企業ほど、「うちには必要ない」と思い込んでいることが多い。これは価値がないんじゃなくて、単に体験したことがないからそう見えているだけだ。会場が暗転してオープニング映像が流れた瞬間、空気が変わる。参加者の姿勢が変わる。この体験は、実際に一度味わってもらうしかない。

【イベント会社さまへ】

「この演出、映像でやりたいけど社内に手がない」——そんなときは、制作パートナーとして裏方で入ります。

御社の名前で納品できる形(下請け・OEM)にも対応しています。

👉 相談する:お問い合わせフォームはこちら

無料で相談する制作実績を見る

3つの前提条件をまとめたチェックリスト

商談の場でこの3つを一つずつ確認できるように、簡単なチェックリストにしておく。

– [ ] これは「全体予算」の話か、「映像単体」の話か – [ ] 決裁権は目の前の担当者にあるか、別に決裁者がいるか – [ ] 決裁者の意向は「不要」か「様子見」か – [ ] 「今回」の話か、「今後も含めて」の話か – [ ] 来年以降も同種のイベントは継続予定か

3つの前提条件をまとめた商談チェックリスト

この5項目を、提案が一度断られた瞬間に慌てて聞くんじゃなくて、提案の初期段階、つまりヒアリングの時点である程度おさえておくのが理想だ。そうすれば「予算が厳しくて」という言葉が出た瞬間に、こちらはすでに次の一手を用意できている状態になる。

まとめ:断り文句の裏にある「まだ見えていない前提」を一緒に整理する

「予算が厳しい」という言葉は、多くの場合、映像そのものを拒否しているわけじゃない。映像の価値がまだ見えていない、決裁の構造が整理されていない、今回と来年の話が混ざっている。この3つのどれか、あるいは全部が絡み合って出てくる言葉だと僕は思っている。

だからこそ、この言葉が出た瞬間に引き下がるんじゃなくて、「予算全体の話か映像単体の話か」「決裁者は誰か」「今回限定か来年以降も含む話か」の3つを、クライアントと一緒に整理する。この一手間があるかないかで、案件の着地点はまったく変わってくる。

そして、もし今回は見送りという結論になったとしても、そこで終わりじゃない。来年に向けた種をまいておけば、次のタイミングでちゃんと芽が出ることがある。

オープニング映像で会場の空気が変わる企業イベントの様子

映像は、一度体験してもらえれば、その価値は必ず伝わる。あとは、その体験までの距離をどう縮めるか。それを一緒に考えるのが、僕らの仕事だと思っている。

EasyEaseが実際に手がけた企業イベント映像・OPムービーは制作実績ページにまとめています。実際の事例はこちら。ご依頼いただけるサービス全般はこちらからご覧いただけます。

なお、映像そのものの制作費はおおよそ10万〜50万円が目安で、規模や本数によって変わります。まずは打ち合わせで無料お見積もりをお出ししますので、お気軽にご相談ください。

無料で相談する制作実績を見る

【株式会社EasyEaseについて】

イベント会社の映像パートナー。企業イベントの撮影・編集・ライブ配信OPムービー制作を、 御社案件の一部として裏方で担当します。テンプレートを活用して工数を抑えることで、OP映像をもっと多くの現場で使ってもらえる価格にしています。 広告代理店・制作会社向け自社サービス「CUROCO」も運営中。

🌐 公式サイト:株式会社EasyEase公式サイト 📩 パートナーのご相談:お問い合わせフォームはこちら

関連記事

「AIなら簡単に、安くできますよね」——クライアントからそう言われて、返す言葉に困った経験はないでしょうか。

これ、実はかなり厄介な質問です。なぜかというと、「簡単にできる部分」と「まだ人がやるべき部分」が、生成AIの世界では猛烈なスピードで入れ替わり続けているから。今日この瞬間の正解が、3ヶ月後には古い情報になっていることもあります。

この記事では、その現在地を整理したうえで、その質問にどう向き合えばいいかをまとめます。読み終わったときに、次にクライアントから同じ質問をされても、動じずに答えられるようになっているはずです。

クライアントが「簡単でしょ」と言う理由は、実は理解できる

まず前提として、クライアントを責める話ではありません。彼らがそう思うのも無理はない、というのが僕の見立てです。

理由は単純で、動画生成AIの進化速度が異常なんです。ここ数ヶ月だけでも複数の生成AIツールが次々とアップデートを重ね、YouTube上では「一人で映画制作できる」「動画生成AIの最優秀はこれ」といったタイトルの検証動画が再生回数を伸ばしています。各ツールの仕様は数ヶ月単位で変わるため、たとえばGoogle DeepMindのVeo公式ページのような一次情報を定期的に確認しておくと、認識のズレを防げます。

こうした話題がSNSやニュースで流れてくれば、映像を発注する側の企業担当者が「もうAIで全部できるんじゃないの?」と感じるのは、むしろ自然な反応だと思います。僕自身、この分野を追っていて「え、もうここまでできるのか」と驚く場面は少なくありません。

問題は、その驚きが「だから安く・早くできるはず」という短絡に変換されてしまうことです。ここに、イベント会社の営業さんが答えに窮するギャップが生まれています。

生成AI映像について打ち合わせで質問を受ける企業担当者のイメージ

生成AI映像の現在地を、3つの軸で整理する

「簡単にできますよね」という一言に対応するには、感覚論ではなく、現在地を整理した状態で答えられる必要があります。僕がおすすめしているのは、この3つの軸で切り分けて説明する方法です。

① 「素材を作る」は速くなった。「意図を込める」は変わっていない

生成AIが得意なのは、あくまで「素材の生成」です。写真1枚から短い動画を作る、テキストから背景映像を生成する、といった作業のスピードは、本当に驚くほど上がりました。

ただ、ここで営業さんが説明すべきなのは「素材が速く作れる」ことと「イベントの意図に合った映像になる」ことは別問題だという点です。周年イベントで社長のメッセージを乗せる映像、表彰式で受賞者の背景を映す映像は、素材の生成速度がどれだけ上がっても、「誰に、何を伝えたいか」を設計する工程が必要になります。ここは今のところ、AIが単体で担える領域ではありません。

② ツールの選択肢は増えた。使い分けの判断はプロの仕事になった

以前は「動画生成AI」といえば選択肢が数える程度でしたが、今は状況が一変しています。性能もコストも異なる複数のツールが並走している状態です。YouTube上でも「どのAIツールが最強なのか」を比較する検証動画が繰り返し出てくるくらい、ユーザー側も選ぶのに苦労している状況が伺えます。

これは裏を返せば「ツールが増えたぶん、選定と使い分けの判断が増えた」ということです。クライアントに「AIで簡単にできますよね」と言われたときに答えるべきは、「できますが、どのツールをどの場面で使うかの判断が、実は一番手間のかかる部分なんです」という一言だと思います。

③ 生成は早くなった。仕様を渡す精度がボトルネックになっている

これは動画生成に限った話ではないと、僕は考えています。AIに何かを作らせるとき、一番時間がかかるのは「生成そのもの」ではなく「AIに正確に指示を出す準備」だからです。

ざっくりとした指示をAIに渡すと、意図とズレたものが返ってくる。項目を具体的に切り分け、粒度を細かくして渡し直すと、ようやく狙った結果に近づく——これは多くの生成AIツールに共通する挙動です。

つまり「AIが賢いから早く終わる」ではなく「AIに何を渡すかを設計する人間の精度が、成果物の質とスピードを決める」ということです。これは動画生成AIをイベント映像に使う場合にも、そのまま当てはまる話だと思います。

生成AI映像の現在地を素材生成・企画設計・演出の3つの軸で整理した図

クライアントへの返し方、3つのセリフ例

ここまでの整理を踏まえて、実際に営業の場で使えるセリフ例を用意しました。「簡単にできますよね」と言われた瞬間に、どう返すかで信頼度が変わります。

セリフ例①(素材と設計を切り分ける) 「素材を作るスピードはこの1年でかなり上がっています。ただ、周年イベントのオープニングで社長のメッセージをどう見せるか、どの順番で映すかという設計の部分は、AIではなく私たちが企画として組み立てる部分になります。ここを丁寧にやるかどうかで、当日会場の空気が変わってきます」

セリフ例②(ツール選定の手間を説明する) 「今、動画生成AIのツールは種類が増えていて、それぞれ得意な表現やコストが違います。御社のイベントの規模と予算感に合わせて、どのツールをどう組み合わせるかを判断するところに、私たちの経験値が生きています」

セリフ例③(できる範囲を正直に区切る) 「AIで作れる部分と、企業のブランドや文化を反映する部分は分けて考えています。SNS用の告知動画や当日の演出映像はAIとの組み合わせでスピーディーに対応できますが、会社の思いを乗せるブランドムービーは、しっかり人の手で設計したほうが仕上がりが良くなります」

どのセリフも共通しているのは、「AIはできない」と否定せず、「AIができる範囲」と「人が設計すべき範囲」を分けて説明している点です。これができると、クライアントは「ちゃんと考えてくれている会社だ」と感じてくれます。

提案書に入れておきたいチェックリスト

営業トークだけでなく、提案書の段階で整理しておくと、後の行き違いを防げます。僕が普段、映像を発注する側に説明する際に整理している項目をそのまま共有します。

– □ この映像は「素材生成で対応できる部分」と「企画設計が必要な部分」のどちらが主か – □ 使用予定のAIツールは、今回のイベントの規模・トーンに合っているか – □ AIに渡す指示(仕様)を誰が、どの粒度で作るか決まっているか – □ 静止画ベースの簡易構成か、動画素材を使った作り込み構成か、クライアントと認識が揃っているか – □ 「安くできる部分」と「予算をかけるべき部分」を提案書内で明確に分けて書いているか

特に最後の項目は重要です。「AIだから全部安くなる」という誤解を提案書の段階で解いておくと、後工程での認識ズレを未然に防げます。

生成AI映像を提案書に落とし込むときのチェックリストのイメージ

【イベント会社さまへ】

映像込みの提案で迷ったら、企画段階から壁打ち相手として使ってください。

費用感や実現可否だけ知りたい、という段階のご相談も歓迎です。

👉 相談する:お問い合わせフォームはこちら

無料で相談する制作実績を見る

「安くできる」を武器にするなら、体験してもらう設計で使う

「AIなら安くできますよね」という言葉を、否定するのではなく、逆に活用する方法があります。それは「映像を初めて使う企業に、体験してもらうための入口」として位置付けることです。

映像を一度も使ったことがない企業ほど、「うちには必要ない」と思っています。それは使ったことがないから価値がわからないだけです。会場が暗転して、オープニング映像が流れた瞬間、空気が変わります。参加者の姿勢が変わります。この体験は、一度味わってもらうしかありません。

その最初の一回を邪魔しているのが、金額のハードルです。EasyEaseでは、テンプレート化したオープニング映像のパッケージを1本5万円で用意しています。これは静止画ベースの最低限の構成ですが、テンプレートと仕様書に沿って作るからこそ、この価格で成立しています。安さの理由は技術の手柄ではなく、毎回ゼロから設計する部分を絞っているからです。

そして、この5万円は入口です。一度体験したクライアントは「次はエンディングも」「表彰式でも使いたい」と、映像を使える場面が自然に広がっていきます。翌年、映像予算そのものが増える判断につながることも十分にありえます。

イベント会社にとっては、目先の1本の単価ではなく、クライアントの映像予算そのものを育てる一手になります。この「体験のきっかけ」を、御社の商品としてクライアントに渡せる形にしています。

生成AI映像を体験してもらう企業イベント演出のイメージ

まとめ:現在地を知っている人が、クライアントに信頼される

生成AIをめぐる映像の世界は、来月には今日とは違う景色になっているかもしれません。だからこそ、「今の時点で何ができて、何がまだ人の手を必要としているか」を正確に説明できる営業担当者やプランナーが、クライアントから信頼されます。

「AIなら簡単にできますよね」という言葉は、否定するものでも、鵜呑みにするものでもありません。素材生成のスピードと、企画設計の価値を分けて説明する。それだけで、次の提案の通りやすさが変わってくると思います。

そして、その説明の先に「まず体験してもらう」という選択肢を用意しておくと、クライアントとの関係が一回の案件で終わらず、来年・再来年へとつながっていきます。

僕もこの分野の観測を続けていきます。また現場で使える情報が見つかったら、お伝えします。

EasyEaseが実際に手がけた企業イベント映像・OPムービーは制作実績ページにまとめています。実際の事例はこちら。ご依頼いただけるサービス全般はこちらからご覧いただけます。

なお、映像そのものの制作費はおおよそ10万〜50万円が目安で、撮影の規模や本数によって変わります。AI活用を組み合わせた場合の費用感も含めて、まずは打ち合わせで無料お見積もりをお出ししますので、お気軽にご相談ください。

無料で相談する制作実績を見る

【株式会社EasyEaseについて】

イベント会社の映像パートナー。企業イベントの撮影・編集・ライブ配信OPムービー制作を、 御社案件の一部として裏方で担当します。テンプレートを活用して工数を抑えることで、OP映像をもっと多くの現場で使ってもらえる価格にしています。 広告代理店・制作会社向け自社サービス「CUROCO」も運営中。

🌐 公式サイト:株式会社EasyEase公式サイト 📩 パートナーのご相談:お問い合わせフォームはこちら

関連記事

イベント本番の3日前。クライアントから「オープニング映像、テロップの色をもう少し明るくしてほしい」と連絡が来る。担当者としては軽い気持ちの一言のはずだ。でも制作側からすると、色を変えるだけでは終わらない。書き出し直し、確認、微調整、再確認。この一往復に半日かかることもある。

こういう映像の修正対応にかかる時間を、見積もりの段階でどう扱うか。ここを詰めておけるかどうかで、案件の利益率は大きく変わる。イベント制作会社としてこの映像案件を発注する側に立つとき、パートナーとなる制作会社が修正対応をどう見積もりに組み込んでいるかは、事前に確認しておいて損はないポイントだ。今回はこの工数の考え方を、EasyEaseで実際に採用している基準込みで書いていく。

なぜ映像の修正対応が見積もりから抜け落ちるのか

映像の修正対応にかかる時間を見積もりに組み込む打ち合わせの様子

見積もりを作るとき、制作会社の多くは「撮影費」「編集費」「納品」という工程ベースで金額を組む。ここに「修正対応」という項目を独立させて置いている会社は、正直そんなに多くない。

理由は単純で、編集段階で発生する素材の差し替えや表現の微調整が、どれくらいの回数・規模で発生するか事前に読みにくいからだ。読めないものを見積もりに数字として書くのは怖い。だから「修正は別途相談」「軽微な修正は無料」といった曖昧な言葉に落ち着きやすい。

ただこの曖昧さは、後から効いてくる。クライアントにとっての「軽微」と、制作側の「軽微」の基準はズレやすい。テロップの色変更は、クライアントからすれば軽微。でも制作側からすれば、色を変えた瞬間に他のシーンとのバランスも見直す必要が出てきて、実質は再編集に近い作業になることがある。

このズレを事前に埋めずに案件を受けると、修正対応の時間が「サービス」として吸収されがちだ。工数として計上されない時間が積み上がり、気づいたら利益率が想定より下がっている。これは編集工程まわりでよく起きるパターンだと僕は見ている。

修正対応を3段階に分けて見積もりに組み込む

修正の工数を見積もりに組み込むために、僕がやっているのは「修正を種類ごとに分けて、それぞれに時間の目安をつける」というやり方だ。ここを曖昧にせず、契約前にクライアントと共有しておく。

①軽微な調整(色味・音量・テロップの誤字)

これは数分〜30分で終わるレベル。書き出しから再確認までを含めても半日以内に収まる。ここは見積もりの中に「2回まで無料」のように回数で区切っておくと分かりやすい。

セリフ例としては、こう伝えている。

「テロップの誤字や色味の微調整みたいな軽い修正は、納品後2回まで見積もりに含んでます。3回目以降は1回あたり1万円で対応します」

回数で区切ることで、クライアント側も「じゃあ最初にまとめて指摘しよう」という意識になる。これが地味に効く。小さい修正依頼が何度も続くことを防げる。

②中程度の修正(シーン差し替え・尺の変更)

ここからは工数として明確に別枠にする。編集段階でのシーン差し替えは、支給素材を選び直し、編集し直し、音楽とのタイミングも合わせ直す必要がある。軽く見積もっても半日〜1日はかかる作業だ。

僕はこのクラスの修正が発生した時点で、追加費用が発生する旨を最初の契約書に明記している。金額は案件の規模によって変わるので断定はしないが、「この規模の修正が発生した場合は、追加でお見積もりします」という一文を入れておくだけで、後々のすれ違いを避けられる。

③大幅な作り直し(コンセプト変更レベル)

これは修正ではなく再制作に近い。オープニング映像のコンセプト自体を変えたい、構成を丸ごと組み直したいというレベルの依頼が来ることもある。

このクラスは、最初の見積もりとは別に新しい見積もりを出し直すべきだと考えている。ここを「サービスの延長」として扱ってしまうと、制作側にしわ寄せが集中しやすい部分だ。

映像の修正対応を3段階に分けて工数を管理するイメージ

見積もり書に入れる「修正対応欄」の作り方

具体的に見積もり書のどこに何を書くか。僕がテンプレートとして使っている構成はこうだ。

項目名:修正対応(軽微な調整) 内容:色味・音量・誤字修正など 回数:納品後2回まで 追加費用:3回目以降 1回あたり1万円

項目名:修正対応(構成変更) 内容:シーン差し替え・尺変更など 対応:都度見積もり 目安:半日〜1日の追加工数

これを見積書の一番下、備考欄ではなくちゃんと項目として独立させて入れる。備考欄に小さく書くと読み飛ばされやすい。項目として金額と一緒に並んでいると、初めてちゃんと目に入る。

この「独立した項目にする」というのが実は一番大事なポイントだと思っている。見積書の中で埋もれさせない。修正対応も立派な工数であって、サービスではないということを、書式のレベルで示す。

【イベント会社さまへ】

「この演出、映像でやりたいけど社内に手がない」——そんなときは、制作パートナーとして裏方で入ります。

御社の名前で納品できる形(下請け・OEM)にも対応しています。

👉 相談する:お問い合わせフォームはこちら

無料で相談する制作実績を見る

クライアントへの伝え方で失敗しないための一言

修正対応の枠を作っても、伝え方を間違えると「細かいことを言う面倒な会社」という印象を持たれかねない。ここは言葉選びが重要になる。

僕が意識しているのは、「制限」ではなく「安心材料」として伝えることだ。

例えばこんな言い方をする。

「修正が2回までっていうのは、逆に言うと2回の中でしっかり仕上げられるように、最初の打ち合わせで方向性を細かく詰めさせてもらってます。だから本番までのスケジュールも読みやすくなるんです」

こう伝えると、回数制限がクライアントにとって「不便」ではなく「段取りが良い証拠」として受け取ってもらえる。修正回数を決めておくことで、初回の打ち合わせでの詰めが甘くなることも防げる。回数に制限がないと「後で直せばいい」という空気になって、最初の打ち合わせが浅くなりがちだ。

修正対応をチェックリスト化しておく

案件を受けるたびに確認できるチェックリストを置いておく。契約前にこれを一つずつクライアントと合わせておくと、後のすれ違いがかなり減る。

– [ ] 軽微な修正の回数上限を決めているか(例:2回まで) – [ ] 軽微な修正の定義をクライアントと共有しているか(色味・誤字レベルと明記) – [ ] 中程度の修正が発生した場合の追加費用ルールを契約書に書いているか – [ ] 大幅な作り直しは再見積もりになる旨を事前に伝えているか – [ ] 見積書の中で修正対応が独立した項目になっているか(備考欄に埋もれさせていないか) – [ ] 初回打ち合わせで方向性をどこまで詰めるか、担当者間で認識が揃っているか

このリストを毎回の見積もり作成時に見返すだけでも、修正対応にかかる時間の見落としはかなり防げる。

なお、業務内容や報酬などの取引条件を書面やメールで明示しておくことは、2024年11月に施行されたフリーランス・事業者間取引適正化等法でも発注側の義務とされている。外部スタッフに編集を依頼する立場になることも多いので、公正取引委員会の解説ページで条件明示のルールを一度確認しておくと安心だ。

見積書に修正対応欄を独立させた企業イベント映像の見積もり例

まとめ:修正対応は「サービス」ではなく「工数」として扱う

映像の修正への対応は、どうしても「ちょっとしたお願い」として扱われがちだ。でも制作側の時間を使う以上、それは立派な工数であって、サービスではない。

軽微・中程度・大幅という3段階に分けて、それぞれにどれくらいの時間がかかるかを見積もりの段階で明示しておく。回数や条件をクライアントに先に伝えておくことで、後々の「思っていたのと違う」というすれ違いを防げる。

この工数の考え方を整理してから、案件ごとの利益率のブレはかなり減った実感がある。修正対応を曖昧にしたまま案件を受けるのは、自分たちの首を絞める行為に近い。見積書の一項目として、修正対応の枠をきちんと持っておくこと。これがイベント映像案件を長く健全に回していくための、地味だけど効く工夫だと思っている。イベント制作会社としてパートナーを選ぶ際も、この項目が見積もりの中でどう扱われているかは、一つの見極めポイントになるはずだ。

企業イベント映像の撮影現場と修正対応の工数管理

EasyEaseが実際に手がけた企業イベント映像・OPムービーは制作実績ページにまとめています。実際の事例はこちら。提供サービスの一覧はサービス紹介ページをご覧ください。

なお、映像そのものの制作費はおおよそ10万〜50万円が目安で、撮影の規模や本数によって変わります。修正対応の工数も含めた正確な金額は、まずは打ち合わせで無料お見積もりをお出ししますので、お気軽にご相談ください。

無料で相談する制作実績を見る

【株式会社EasyEaseについて】

イベント会社の映像パートナー。企業イベントの撮影・編集・ライブ配信OPムービー制作を、 御社案件の一部として裏方で担当します。テンプレートを活用して工数を抑えることで、OP映像をもっと多くの現場で使ってもらえる価格にしています。 広告代理店・制作会社向け自社サービス「CUROCO」も運営中。

🌐 公式サイト:株式会社EasyEase公式サイト 📩 パートナーのご相談:お問い合わせフォームはこちら

関連記事